2013年10月31日木曜日

結果

夏に開催された「北海道の木の椅子 100人100脚展」のアンケートの集計結果を頂いた。

膨大な回答を集計して頂いた事に感謝である。


そのアンケートの質問 「欲しい作品は」。


その集計を、完全なデータとして提出して頂いたのだ。
全ての作品の得数とコメント、得数の順を1番から100番まで、非常に明快に。

全く。苦しい。正確に残酷に。
全て知ることは、本当に苦しいものだ。

僕はいつだって上位一割を目標にしているけれど。
それでも多くの方に支持して頂いたことに嬉しさも感じているけれど。




12年前、2001年9月。
技能五輪、国際大会。韓国で。
国内の大会での優勝を受けて進出。
日の丸付けて、町長市長から順に最後は総理大臣、皇太子まで表敬訪問を重ねて。

二十歳のころの全てを費やして臨んだ。

もう何人中の何位だったかも覚えていない。一番したから二番目だった。

採点基準、各部門の点数と、それの得点、そして総得点、総合順位が全員分発表される。
優勝者から順番に最後まで、全く明確に並べられるのだ。

競技が終了した瞬間からわかっていたけど。
改めて残酷な結果を突きつけられた時の苦しさは、表現なんてできない。

挫折。



思い出すなぁ。トラウマだ。



本気で取り組むからこそ落ち込むもの。
その結果を逃げずにしっかりと受け止めて、だけども落ち込む自分を許容して。



さあ、また椅子を設計しよう。


2013年10月30日水曜日

コーナーソファ

クッション部分の製作が、木部完成後に合わせながらしたいと言うことで遅れていたコーナーソファ。

待ち焦がれていた甲斐あって。




本当に苦労して設計した分、嬉しくなる。

背のクッションはL字に縫製している。
座と背のツートンカラーも絶妙。69色の中からクライアントが選んだのだ。












数日前のブログで掲載したとおり、アームレスソファと並べて使用する。

座はマイナス2度の傾斜を。二方向に傾斜するから、コーナー部分の奥の納まりをどのようにするか、非常に悩んだ事は述べたけど。
だから世の中のコーナーソファはほとんど座の角度は水平だ。

座のクッションの下はラダー状。そこに苦労と工夫が凝縮している。
解決させて見れば、とても簡単な事だったのだけれど。

せっかくなので、同業の皆さまにも悩んでもらいたいので伏せておきます。



それにしても見積もりを失敗。
とても苦労したのだけど。椅子張り屋さんの請求もコワい。



しかし楽しいな、家具作り。



2013年10月29日火曜日

覚悟

先日、旭川家具工業協同組合の大きな会議があり。

そのあとの懇親会で、新規加入の所信表明をさせていただいた。
加入にあたっては、匠工芸の桑原社長とメーベルトーコーの笠折社長に推薦状を頂いた。

桑原社長には、勤めていた時に組合の椅子部会に出席させてもらっていた時から特にお世話になっていた。
桑原社長は、前職場を退職後に退職の報告に伺った際、笑顔で怒られた事が思い出だ。
独立後、家具センターに製品を展示させていただけるようお願いした時も、とても力強く応援して頂いた。
笠折社長には、2006年か7年に会社からケルンメッセに視察に行かせて頂いた時、滞在先のホテルを相部屋にさせていただいて以来、お世話になっている。


そして伝統ある旭川家具の皆さまに暖かく迎えて頂いたことがとても嬉しい。


たしか25歳の時、「旭川家具産業の歴史」という本を読み、その淡々として面白くない本を読み進めながら涙が出た時から、僕は強烈な旭川家具の推進者である。
組合には必ず加盟して、旭川家具のブランドの真ん中で活動したいと思っていたから、創業から3年半、待望していた。



「ひとつも不安に思っちゃダメなんだぞ、全部出来る出来ないことなんか何も無いと思ってひたすら前に進むんだぞ!すぐ後ろはもう崖だからな」




また、まだ時期は調整中ではあるが。
Bacanaとの工場の共同運営、工場シェアを特色の一つとしていた我々だが、その体制を解消する事に。
Bacanaはその活動を大幅に縮小し、改めて原弘治氏をGAUZY CALM WORKSの工場の責任者として招聘することに。
GCWの直販部門を伸ばそうと大きな決断をしてもらった。
今後僕はフロントマンとしての営業の割合を強め、生産を原くんに守ってもらうという体制で走ることに。

その報告もこの機会にさせていただいた。


旭川という地方都市で積み重ねられたものづくりの歴史を引き継いていくことに誇りを持ちながら、突き進んでいきたい。

2013年10月23日水曜日

キッチンパーテーション キッチンシェルフ

7月1日納品。
キッチンパーテーション。









水に強いように、内側はメラミンで。
ということは、色で遊べるということ。
クライアントに提案したところ、即決で青を。僕のイメージもまさに青。

そのパーテーションにお箸とスプーンなどの収納も。









キッチンシェルフ。ポリ合板、付け面のみ無垢材。
電気製品の寸法を測って。
3連になっていて組み換え可能。
炊飯器のところのみスライド棚。

スライドさせた時にひっくりかえらないような工夫も。



まさに特注というような仕事を。
ピッタリに製作したとはいえ、納品の時はちゃんと入るかドキドキしたりして。



追加でダイニングテーブルのオーダーも頂き、現在製作準備中。

楽しみだ。

2013年10月19日土曜日

冬支度

長い冬、雪の季節はすぐそこだ。
その前に、いろいろと準備が。

その一つが、屋根の補修。
昨冬はスガモリでひどい目にあっているし、夏の夕立で恐ろしいほどの雨漏りもした。

大家さんとの交渉で、渋る大家さんに「塗るのは僕らでやるからペンキは買って」がそのとおりになって。しばらく前にペンキを買ってくれていたのだが。
忙しいのとやりたくないのでずるずるしていたが、いよいよタイムリミットが近づいて。

もう晴れる暖かい日もきっとわずか、とうとうやらなくてはと、、、。





まず、この安心感のあるはしごで大家さんの倉庫に登り。





奥に見えるこれまた頼もしいはしごでさらに上、工場の屋根へ。



シーリングうってみたり、アルミテープ貼ってみたり。



ペンキをローラーでころころと。
軒先ぎりぎり、コワいコワい。





隣を見れば、あらら大家さん。
そっちの棟はもとのわれわれの工場。半分で仕切っていた反対側も家具屋さん。

なんだよ、大家さん、塗れるんじゃないか、こっちも塗ってくれよ。




「大家さん、大変だね。この屋根いつ塗ったの?」

「んー、忘れたわ。10年前くらいか??」

「もうずいぶん傷んでるよ!」

「もう年とって手入れできないから、お前ら来るの待ってたんだわ、若いヤツらペンキ塗ってくれるから!」

「いやいや、待ってるうちに年取ったんでしょ!」




「お前ら違う、二列づつ塗れ、下から上にだー。ひだのとこは刷毛で塗ってよ、そしたらローラーだー!刷毛は貸してやるからよー」



うるせぇなぁ。




でも僕は大家さん大好きで。
普段からなんだかんだ面倒見てくれて、業界の昔話は面白くて。

大家さん、たぶん75歳くらいか、ずっと元気でいて欲しい。

2013年10月17日木曜日

H-SOFA 3P

好評をいただいているH-SOFAの3シーターを。







製作は圧倒的に2Pが多いが。3人掛けになって幅広になると、豪華さが増す。

基本的には2Pと同じだが、一度に3人座る事をふまえて補強している。
前幕板を5ミリ広くして、内側に鉄板を仕込んでいる。


さて、ツートンカラーのシーティングの評判はとても良いが。
しかし単色の潔い美しさも。

カバーリングタイプなので、替えのカバーを購入頂けば季節や気分で衣替えを。
部屋に占める面積が大きいので、カラーを変えることによって部屋の印象は大きく変えることができる。

ファブリックは全70色程度。組み合わせは無限だ。



納品は実は7月。
暑かった今年、凍える今となっては懐かしい。

2013年10月16日水曜日

洗面化粧台

 
洗面化粧台を。
納めたのは先月の初め。
 
 



自分が写り込んで。鏡は撮影が難しい。

メープルにミラー。とても上品に。
図面はクライアントが書いてくれた。勤めていいた時の先輩邸。
あれからもう10年も。










今日、旭川。初雪。
納品の時はまだ夏みたいだったのに。わずか1カ月半前の事。

厳しい季節はもうすぐそこだ。
しかし真っ白の美しい世界の到来でもある。

厳しくも美しい。



楽しくも苦しい木工人生と似ているのかもね。

2013年10月14日月曜日

高度な加工

かなり難しい事を。





NC加工。
もちろん旭川市工芸センターに依頼して。

データも無いのに、こんな加工に挑戦してくれる。
本当に感謝である。工芸センターがなければ、僕のところではとてもじゃないが、こんな仕事を受けることはできない。

とはいえ、僕も打ち合わせなどでもう大変な時間をかけている。
思っていたよりも遥かに厳しい仕事である。

相談を受けた時、思わず断りたくなるような仕事ではあったけど。
なんとか納期だけお願いして受けることにしたのは、まだ若いうちに経験してみたかったから。





 
工場にて、クサカ。
節あり材を多用するが、全ての節をケアしている。
はっきり言うと手間である。いわゆるキレイな材を使えば、右から左に流していけるのに。
 
 





彼ももう半年、僕も進まなくては。


2013年10月12日土曜日

ソファダイニングセット

ソファスタイルのダイニングセットを製作し、納品した。

コーナーソファは椅子張りが間に合わず、後日発送することに。



基本はアームレスソファ。







これをダイニングとして2台。




本当はコーナーソファがつくのだが。
撮影出来なくて残念。







仕方なしに、背だけはずして雰囲気だけでも撮影を。

椅子を設計、製作している人なら分かるはず。
コーナー部分が大変な困難であることを。

アームレスソファ自体には、座にマイナス2度程度の傾斜を付けている。
これが両方向から交わると非常に複雑になるのだ。
多くのコーナーソファが座が完全にフラットであるのはこのためである。
座に傾斜を付けなければ、悩むところはほとんど無いはずだ。


困難はすべてコーナー部分に集中。
笠木の留め加工とその接合。組み立ての順番も検討が必要。

最大の失敗は、見積もりを完全に誤ったこと。
大きさ自体はパッと見た感じでも半分であるし、思わず安めに。
しかしよく考えると、ソファを半分に折り曲げただけで、部材は前幕板一本と座布団一個減っただけ、手間や加工、組み立て難易度は格段に大きい。

本当に、学ぶことは沢山あるな。




今回の納品は札幌。
この機会にあちこち訪問を。

盟友のKANTO
来年のイベントでお世話になるメトロクス
訓練校の先輩で、もはや北海道有数の家具工房旅する木

多くの刺激を受けて。
所属企業で活躍している仲間や、独立して突き進んでいる仲間。
彼らがいるから、自分も走っていける。

忙しい中でも迎えてくれて、話は尽きないけれど。

もちろん、誰であろうとライバルだけど、みんなと自分の未来が楽しみなんだ。

2013年10月10日木曜日

キッチンスツール

キッチンスツールを設計、製作した。







設計に随分苦労して。
出来上がったらシンプルだが、設計前のイメージをなかなかつかめなくて。

板座か布座でまず悩んで。
板座での製作に意欲的ではあったが、どうしても重くなってしまう事、スタイリングも軽快にしにくいことから布座を採用。
キッチンスツールという用途である以上は、軽くて持ち運びやすいということは条件の一つだ。

そして軽快さを追求しての設計。
シートを被せて布の座から直接脚が出ているようなフォルムに。

直線で構成するために、部材の寸法や角度、全体の寸法などを慎重に検討。

設計に時間を掛け過ぎた焦りから全速力で製作したこともあるが、製作の2倍以上も設計に時間を掛けている。

そして、張りくるむために、木部が完全に完成してから椅子張り屋さんに張ってもらうため、木部完成後に10日程度も時間が必要になってしまう。


今回から新しい銘柄のファブリックを採用。
少し渋い、深みがあって落ち着いた雰囲気。

全6色。



結果として、とても良いものになったと思う。
ただ、このシンプルなスツールでさえ、膨大な労力を積み重ねて表現されていることを伝えたい。




ナラ カラーオイルフィニッシュ   (シート高)500×(シート寸法)250×250

2013年10月6日日曜日

走る

来年2月、故郷茅ケ崎で凱旋展示会を企画中。
今月にも打ち合わせに帰郷する。

3月には、札幌を代表する商業施設でのトライアル出店の打診を頂いて調整中。

工場の生産力を大幅に補強するため、人的登用も検討中。



乏しい資金力ではあるが、積極的な展開を。
利益が出ればほとんど再投資。


事務所もWINDOWSからMACに移行中。
CADが不能に陥って設計出来ずにいるので。
移行後も旧データを読みこめるかなどなど不安が沢山。
メールの移行も良く分からず、もしかしたら不通に陥るかもしれないけれど。

順次解決していきたい。


その後、停滞中のWEBをリニューアルしていく。
ロゴの刷新も依頼している。
そして工場に看板も設置し(今頃!!)、印刷物も整えていく。

フォトブックのような物の制作にも挑戦してみたい。

予定通り、辛抱の3年間を経て本格的にアウトプットに転じていく。
しかし最低あと2年間は相当厳しいだろう。
扱う金額は大きくなるが、ほとんど右から左に流れていくことになるだろう。

それでも、必要以上の急成長は望まない。
ピークは死ぬ時、最後の時に。それまではずっと上昇していきたい。その為にも、ゆっくりと昇らなくては。

あの時は良かったなんて、永遠に言いたくはない。

良いのは絶えず未来であるべきだから。




2013年10月4日金曜日

サイドボード

扉をアウトセットに。
スライド丁番使用。



框の幅50ミリは、チョウバンの取り付け穴がΦ35ミリで、帆立板にカブせる分とガラスを落とし込む分とを入れるとほぼ最小。